妊娠中におすすめのサプリメントと注意点について【現役薬剤師が解説】

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妊娠をきっかけに、サプリメントを生活の中に取り入れようとする方も多いのではないでしょうか。
ですが初めてサプリメントを飲む方にとっては、さまざまな不安があると思います。

「赤ちゃんの成長のためにサプリメントを飲もうと思うけど、何を飲んだらいいかわからない
「妊娠中にサプリメントを飲んでもいいのか不安…
食事だけでは不十分なの?」

このように思う方も多いでしょう。
この記事では妊娠中におすすめのサプリメントをご紹介するとともに、サプリメントを飲む上での疑問点、注意点についても触れていきたいと思います。

目次

妊娠中にサプリメントがおすすめな人

妊娠中にサプリメントをおすすめしたい人はこのような方です。

  • 食事が不規則、栄養に偏りがある人
  • つわりがひどく食べ物があまり食べれない人
  • 赤ちゃんの神経管閉塞障害のリスクを減らしたい人
  • 毎日継続して飲むのが苦ではない人

サプリメントとは食事で十分に取りきれない栄養素を補充するものです。
普段の食事で栄養の偏りがあると自覚している人や、妊娠中つわりがひどくまともに食事が取れない人は積極的にサプリメントで栄養を補充するとといいでしょう。

また神経管閉塞障害という病気はご存知でしょうか?妊娠を機にこの病気を知る方も多いと思います。

神経管閉塞障害とは
妊娠初期に神経管が上手く作れないことにより、赤ちゃんの脳や脊髄に異常が発生する病気。
葉酸の欠乏が原因の一つとされており、妊娠前〜妊娠中に適量の葉酸を摂取することより、発症リスクを低下させることができます。[1]

発症リスクを低下させるため、妊活中から葉酸のサプリを飲む方も多くいます。
(葉酸については下で詳しく説明します)

必要な栄養素を補充することにより防げる病気なのであれば、事前にしっかりと対策したいですね。

妊娠中におすすめのサプリメント

なぜ妊娠中にサプリメントを飲むことがおすすめされるのでしょうか。
それは仮に栄養バランスが取れた食事を毎日していても、十分に取りきれない栄養素があるからです。

ここでは妊娠中、特に不足しがちな葉酸と鉄分についてご紹介します。

葉酸

葉酸とはビタミンB群の一つで、胎児のDNAやRNA、赤血球を作るために必要な栄養素です。
不足すると上記でも説明した神経管閉塞障害を発症するリスクが高くなります。

妊娠前(妊娠の約1ヶ月以上前)から摂取することがいいとされ、妊娠中は通常の食事に加え1日400μgの葉酸を摂るといいとされています[1]
葉酸が多く入っているおすすめの食材を以下にご紹介します。
(レバーは葉酸・鉄分を多く含む食材として有名ですが、妊婦さんが摂りすぎるとあまり良くないため以下には載せていません。)

  • ほうれん草、ブロッコリー、枝豆などの緑黄色野菜
  • 焼きのり、わかめなどの海藻類
  • 納豆、きな粉などの大豆製品
  • ドライマンゴー


上記の食材を毎日の食事に取り入れることもできますが、その場合かなりの量を食べなければなりません。

ゆでたほうれん草を例にしてみましょう。
1束に含まれる葉酸は約210μgのため、400μgを取るには2束食べることになります。
毎日となると、現実的ではありませんね。

また葉酸は食材からの摂取よりもサプリメントからの摂取の方が吸収が良いとされているため、毎日の食事に適量のサプリメントを取り入れるのがおすすめです。

また妊娠中は、葉酸の必要量が妊娠前に比べて2倍ほど増えるとされています。[2]
食事だけでは必要量を取ることが難しい栄養素のため、サプリメントでしっかり補っていきましょう。

妊活中から飲むのが理想的ですが、妊娠してからの飲み始めでも問題ありません。

鉄分

鉄分は赤血球を作るのに欠かせない栄養素です。胎児の成長や妊娠中の体液の増加により、妊娠中は不足しがちになります。妊婦健診で貧血を指摘される方も多くいるでしょう。

鉄分の推奨量は妊娠初期であると8.5mg/日、妊娠中期〜後期では14.5mg/日とされており、胎児が大きくなるにつれて推奨量も増える傾向にあります。[3]

鉄分が多く入っているおすすめの食材は以下の通りです。

  • 牛肉などの赤身のお肉
  • カツオ、イワシ、煮干しなどの魚介類
  • ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜
  • 焼きのり、ひじきなどの海藻類
  • 納豆などの大豆製品

こちらも食材からのみの摂取であるとかなりの量を食べなければならないため、サプリメントを普段の食事に加えて飲むことをおすすめします。

筆者も食事には気をつけていましたが、妊婦健診で2回貧血と指摘されました。

他にも色々あるけど…

葉酸や鉄分以外にも、赤ちゃんにとって必要な栄養素はたくさんあります。

ビタミンD
DHA
カルシウム
ビタミンB6
亜鉛     などなど…

ただこれら全てサプリメントで取ると何種類ものサプリメントを飲まないといけなくなりますね。
序盤でも書きましたが、サプリメントとはそもそも普段の食事で十分に取りきれない栄養素を補充するものです。普段の食事で取れそうであれば、サプリメントは必要ありません。かえって過剰接収になってしまう恐れがあります。

妊娠中は普段の食事を少し意識することで、満遍なく栄養をとるようにしましょう

ただ妊婦健診などで医師から指摘された場合や、どうしても栄養に偏りが出てしまう場合はサプリメントも考慮しましょう。

妊婦さん向けの数種類のビタミン剤がバランスよく入っているサプリメントもあります。
サプリメントを数種類飲む場合は、過剰摂取の恐れもあるため事前に医師か薬剤師に相談しましょう。

サプリメントを選ぶときのポイント

サプリメントを選ぶ際のポイントについて、いくつかご紹介します。

含有量

サプリメントを選ぶ際は、成分量が1日の推奨量と比べてどうか、購入前に必ず見るようにしましょう。

サプリメントによっては成分量が1日の推奨量に比べてかなり少ないものもあります。その場合は食事でも栄養素を取ることを前提としているため、サプリメントだけでは不十分となってしまいます。

逆に含有量が1日の推奨量に近いサプリメントであれば、食事でその栄養素を摂りすぎないように意識しなければいけません。

普段の食生活によって選ぶべきサプリメントは変わるため、自分に合ったものを買うようにしましょう。

価格

市販のサプリメントは数十種類あり、物によっては価格に大きな差があります。
妊娠中の女性をターゲットにしたサプリメントはバランスよく数種類の栄養素が入っていますが、値段が高い傾向にあります。逆に葉酸や鉄分のみなど、単体の栄養素しか入っていないサプリメントはお手頃価格のものが多いです。

費用を抑えたいときは、妊娠中不足しがちな葉酸・鉄分のみサプリメントを使用し、他の栄養素は食事から摂るなど工夫をしましょう。

飲みやすさ

サプリメントにはさまざまな形状があります。

  • 錠剤タイプ
  • グミタイプ
  • チュアブル、タブレットタイプ

グミタイプやチュアブルタイプであればおやつ感覚で食べれますね。ただこのようなお菓子に似た商品は、成分量が少ない場合が多いので、しっかりと確認しましょう。

錠剤タイプでも1日に何錠飲むのか、錠剤の大きさなど人によって好みはあると思います。
初めて買うサプリメントを買う際は飲み方も確認し、自分に合ったものを探しましょう。

つわり中であれば、なるべく味や匂いがないもので小さい錠剤タイプのサプリメントがおすすめです。

取りすぎには注意しましょう

どれだけ妊娠中にいいとされているサプリメントでも、取りすぎには注意が必要です。

先ほど説明した葉酸、鉄分も取りすぎると胎児に悪影響を及ぼします。
葉酸は1日900μgまでに抑え、鉄分も推奨量を大きく超えないように意識しましょう。[2]

飲み忘れた場合はその日(時間)はスキップして、次に飲むタイミングで通常の量を飲みます。
一度に2倍量を飲むなどは控えてください。
サプリメントに表記されている飲み方を正しく守り、適切な量の栄養を摂りましょう。

ビタミンAについて
総合ビタミン剤にはビタミンAが含まれているものがあります。ビタミンAは細胞の分化に深く関わりがあり、適量であれば赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素です。ですが摂りすぎると器官形成異常の原因になることがあります。
特に妊娠初期は重要な時期のため、ビタミンAが入っているサプリメントや、ビタミンAが豊富な食材(レバー)などは食べすぎないように注意しましょう。

まとめ

今回は妊娠中におすすめのサプリメントをご紹介しました。
葉酸、鉄と表示しているサプリメントはたくさんありますが、実際の成分量は製品によってバラバラです。

いつもは包装のデザインだけ見て決める方も、この機にぜひ裏面に書いてある成分量を確認してみてください。
自分に合ったサプリメントが見つけれると、赤ちゃんの成長がより楽しみになりますね。

ここまでご覧いただきありがとうございました!

参考文献

[1]厚生労働省>「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書>妊婦・授乳婦
[2]厚生労働省>日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント>エネルギー・栄養素>ビタミン (2) 水溶性ビタミン 葉酸p92
[3]厚生労働省>日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント>エネルギー・栄養素>ミネラル (2) 微量ミネラル:①鉄p116

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この記事を書いた人

山野 まりのアバター 山野 まり 薬剤師

2歳の息子育児中のママ薬剤師。総合病院で勤務したのち薬局へ転職。赤ちゃんから高齢者まで幅広く投薬、健康相談に応じながら地域住民の健康をサポート。医療を正しく分かりやすく伝えることを大切に、医療ライターとしても活動中。

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