近年注目のマウスピース矯正、インビザラインとは?【抜歯ありの実体験をもとに解説】

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近年、歯科矯正の中で選択される割合が徐々に増えているマウスピース矯正。その中でも世界で多く使用されているのがインビザラインです。

歯科矯正の知識があまりない方からしたら、何それ?と思う方もいるでしょう。またこれから矯正を考えている方は以下のように疑問を持つこともあると思います。

「歯並びを美しくするために矯正をしたいけど、マウスピースで本当に綺麗になるの?
「ワイヤー矯正と比べて痛みが少ないってほんと?」
「インビザラインで出っ歯は治るの?

この記事では幼少期にワイヤー矯正、大人になってインビザラインで歯科矯正をした筆者が、体験談も混えて歯科矯正のあれこれについて解説していきたいと思います。

目次

インビザラインをすることになった経緯

実は歯科矯正をするのは2度目の筆者。なぜ大人になって再矯正することになったのか。それは1度目の矯正後の「後戻り」が原因でした。

きっかけは友人と撮った写真

1度目の矯正は小学校の時でした。小学校低学年のときの筆者の歯並びは、全体的にガタガタで出っ歯。
親に連れられ近所の矯正歯科を受診し、数年かけてワイヤー矯正で綺麗な歯並びにしてもらいました。
抜歯はありませんでしたが、ワイヤー矯正の辛さはこのとき嫌というほど知りました。保定装置※は初めの1年ほどはしていましたが、面倒なのもあり、いつの間にか存在すら忘れてしまいました。

※保定装置(リテーナー)とは
矯正後の歯並びがもとに戻らないように固定する装置


時は経ち、大学生になったあるとき。友人と撮った写真を見返して思ったんです。

私ってこんな出っ歯だったっけ?

写真の写りによるものだったかもしれません。ですが大学生になったときから、数年前に比べて前歯が出ているような気がすると少し気になっていました。
中学、高校の写真を見返しても思いました。これは気のせいではなく、確実に歯が「後戻り※」している……。

※後戻りとは
歯科矯正で整えた歯並びが、元の位置に戻ろうとすること。

一度気になりだすと出っ歯が目立つ自分の笑顔が嫌いになり、すぐに治したいと思うようになりました。

人生2度目の矯正歯科へ

1度目とは別の矯正歯科にカウンセリングに行くと、次のようなことを言われました。

  • 後戻りの原因は保定装置の装着不足。
  • 顎の骨の大きさに対して歯が大きいため、歯を並べるのに十分なスペースがない
  • ガタガタの歯を並べたことにより歯のアーチが大きくなり、出っ歯になりやすくなっている。
  • 今から矯正をするのであれば抜歯矯正をするべき。
  • 幼少期の矯正により奥歯の噛み合わせは良くなっているため、なるべくそこは動かさないようにしたい。そのため今回はワイヤー矯正ではなく、部分的に歯を動かせるインビザラインで矯正するのがおすすめ。

保定装置についてですが、これは筆者の責任だと思います。保定装置をもっと長くしていれば、これほど気になる後戻りはしなかったでしょう。1年ほどしたからもう大丈夫と油断していました。

ここについては本当に後悔しています。
矯正後の保定装置はほぼ一生続けるつもりでしましょう。

また今回抜歯矯正を提案されたわけですが、幼少期の矯正はなぜ非抜歯だったのでしょうか。

それは1度目の矯正のときは小学生であり、当時担当していた先生も、これから筆者の顎の骨がどれほど成長するかなんて想像するのは難しかったと思います。抜歯にもリスクがあるため、そのときの最善の治療が非抜歯矯正だったのでしょう。(なんであのとき抜歯矯正で出っ歯を治してくれなかったの!なんて思っていません。本当に。)

今回抜歯矯正をするにあたり、上下2本ずつ、第一小臼歯(4番)を抜歯しました。
健康な歯を抜くのは初めは少し抵抗がありましたが、とにかく出っ歯を治したい気持ちが強く、先生を信じて思い切りました。

再矯正をする際、最初は治療期間が短いワイヤー矯正を選択したかったのですが、上記の治療方針に納得したためインビザラインで矯正することにしました。

結果インビザラインにして正解だったと思っています!

インビザラインとは

インビザラインについて、解説していきます。

マウスピースを使った歯科矯正

インビザラインとは米国のアライン・テクノロジー社が開発したマウスピース型の矯正装置です。[1]

透明のマウスピース型の矯正装置を装着し、一定期間で交換し続けることで少しずつ歯を動かします。マウスピースは1枚1枚微妙に形状が違っており、通常7〜14日で交換します。(筆者は10日交換でした。)

歯科医師が歯型などをもとに治療計画したのち、米国でマウスピースが作られます。このとき治療終了までのマウスピースが一気に作られるので、多い人は100枚くらいになることも。

アタッチメントという小さな出っ張りを歯につけることにより、そこを力点にして歯を動かします。
抜歯矯正や噛み合わせを合わしたいときなど、より歯を動かす力がいるときはゴムかけ※という方法を使う時もあります。

※ゴムかけとは
インビザラインの補助的な処置で、ゴムの力を利用して歯を動かす力を高めること。
エラスティックゴムとも呼ばれます。

毎日の装着で気をつけること

マウスピースは食事や歯磨きの時間以外は基本装着していなければいけません。装着時間が短いと歯が計画通りに動いてくれないからです。
矯正歯科によっては1日22時間以上装着すると決められているところもあります。

マウスピースを装着する際はアライナーチューイーという歯とマウスピースを密着させるゴムみたいなものを毎回噛む必要があります。
また食事の際は毎回取り外す必要があるので、専用のケースに入れて無くさないようにします。無くすと作り直すのにお金も時間もかかってしまうので注意しましょう。

インビザラインで矯正をしていると虫歯になりやすくなるため、食事をした後は必ず歯磨きをしてからマウスピースを装着するようにしましょう。

インビザラインののメリット・デメリット

ワイヤー矯正と比べてのメリットデメリットを以下に書きます。

  • マウスピースが透明なので目立たない
  • 少しずつ動かすので痛みが少ない
  • ワイヤー矯正と比べて口内炎ができにくい
  • 治療期間中に矯正歯科に行く頻度が少ない(2〜3ヶ月に1回)
  • 飲食する際は毎回取り外ししなければいけない
  • 1日に22時間以上つけなければいけないなど、自己管理が必要になる
  • ワイヤー矯正よりも治療期間が長い傾向にある
  • ワイヤー矯正に比べて高価な場合が多い

インビザラインの一番のメリットはマウスピースが目立ちにくいことだと思います。
透明で本当に着けているか分からないので、矯正していることを周りに知られたくない方にはおすすめです。

メリットデメリットを知り、自分に合った矯正方法を選択できるといいですね。

実際にインビザラインで矯正をしてみて

実際にインビザライン矯正をしてわかったことなどを解説してきます。

治療にかかった時間

インビザラインを使用していて一番気になったのは治療期間の長さでした。
筆者の場合1日22時間以上装着し、交換時期も守っていましたが、ある部分だけ歯が計画通りに動かずだんだんとマウスピースが合わなくなってきました。
歯科医師よりマウスピースの作り直しを提案され、渋々作り直すことに……。その後仕上げの段階で調整のためもう一度作り直しがされ、合計で123枚のマウスピースをすることになりました。

2020年6月から矯正を始めて2025年1月に全てのマウスピースが終了(保定装置は続行中)するまで、作り直しなどにかかる時間も含めると、矯正にかかった時間はトータルで4年半!

いやー、頑張りました。ですが長いようであっという間だったようにも感じます。

マウスピースの作り直しをしなければならないのは想定外でした。
ちゃんと着けていても、計画通りに歯が動かない時があるみたいです。

費用

大人矯正のほとんどは保険適用ではないので、費用については気になりますよね。
筆者の場合、インビザライン矯正でかかった費用は100万円ほどでした。正しく装着時間などを守っていたにも関わらず、マウスピースが合わなくなってしまった場合の作り直しは追加料金がかからない設定でした。

料金設定については歯科矯正によってそれぞれ違うため、マウスピースの作り直しなどがあった場合に追加料金がかかるのかは事前に確認しておきましょう。

インビザラインで最後まで作り直しがないパターンは少ないと思います。そのため最初の値段設定が少し高くても、作り直しの追加料金がかからないところがおすすめです。

痛み

痛みが少ないと評判のインビザラインですが、歯を動かす際に多少の痛みはあります。

筆者の場合は、初めてアタッチメントを付けたあとにマウスピースを装着したときが一番痛く感じました。それ以外はワイヤー矯正に比べたら痛みは全然少ない方でした。
新しいマウスピースに変えた際に歯を動かす痛みが多少ありますが、3日後くらいからは気にならない程度まで落ち着きます。

ワイヤー矯正ではよく口内炎ができ、その痛みとの戦いがありましたが、インビザラインをしていて口内炎ができたことはありませんでした。その点でも痛みによるストレスは少なかったかなと思います。

インビザラインにしてよかったこと

一番良かったことは、結果として綺麗に出っ歯が治ったことです。上にも書いた通り、インビザラインは部分的に歯を微調整できます。そのため奥歯の噛み合わせがいいところはあまり動かさず、前歯や抜歯した付近の歯はしっかりと動かすことができました。

また上記にも書きましたが、痛みが少なく日々のストレスを最小限に抑えられました。
飲食の際は毎回外さなければいけないのが面倒ですが、逆に外してしまえばなんでも食べれます。
ワイヤー矯正の時にはあまり食べれなかったお煎餅やお餅も、インビザライン矯正をしているときは食べれたのが嬉しかったです。

矯正歯科に通う頻度も2〜3ヶ月に1回と少なく助かりました。
働いていると平日に何度も休みを取ったりするのは難しいですよね。

今後もマウスピース生活はしばらく続く

さて、4年半かかった治療は終わりましたが、保定装置はまだ続きます。
以前と同じ失敗はしたくないので、しっかりと継続していきたいと思っています。

矯正歯科からは保定装置について、最低2年間は必ず続けるようにと言われました。

  • 矯正後の初めの1年間は歯が動きやすく、特に歯が後戻りしやすい時期のため、今まで通り1日を通して装着が必要。
  • 2年目になると状況を見て夜だけの装着にすることもできる。

しばらくは今まで通りのマウスピース生活を続けるだけなので、気長に頑張っていこうと思います。

慣れてしまえば、マウスピース生活は全然苦ではありません!

まとめ

歯並びを美しくするためや、噛み合わせを整えるため、美しい横顔を手に入れるため、と矯正を始めるきっかけは人それぞれです。
どのような矯正の装置を使うかは最終的には治療方針によって決められるかと思いますが、もしインザラインをするか迷っている方がいたら、今回の記事を参考にしていただけたらと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました!

参考
[1]インビザライン・ジャパン合同会社公式サイト

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この記事を書いた人

山野 まりのアバター 山野 まり 薬剤師

2歳の息子育児中のママ薬剤師。総合病院で勤務したのち薬局へ転職。赤ちゃんから高齢者まで幅広く投薬、健康相談に応じながら地域住民の健康をサポート。医療を正しく分かりやすく伝えることを大切に、医療ライターとしても活動中。

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